1996 年 53 巻 7 号 p. 448-452
頭-頭結合を構成単位に含むポリメタクリル酸t-ブチル鎖を模倣した化合物である2, 3-ジメチル-2, 3-ジ (2, 2, 2-トリクロロエチル) コハク酸ジ-t-ブチルの熱分解を180℃で行い, その挙動およびt-ブトキシカルボニル基の寄与を調べた. このコハク酸誘導体にはmeso-およびdl-形の2種類の立体異性体が存在することから, その立体配置の相違が熱分解に及ぼす影響についても検討した. その結果, イソブテンの脱離, 続いて脱水環化が進み, ジカルボン酸を経由して, 最終的に酸無水物が生成した. 特に, dl-形は第二段階の脱水環化において有利な立体配座を取り得ることからmeso-形に比べて高い反応性を示した.