1996 年 53 巻 7 号 p. 453-460
ナイロン6 (Ny6) と芳香族ポリアミドであるポリメタキシレンアジパミド (MXD) からなる2成分ブレンドフィルムの引き裂き性と構造の関係について報告する. ブレンド試料の引き裂きのずれおよび荷重は, 引き裂き方向が機械の押出し方向 (MD) の場合と, その垂直方向 (TD) の場合で差が生じた. ホモポリマーではこのような差はなかった. また, TEM観察の結果, ブレンド試料はMDに連続相を成す細長いMXDドメインがNy6マトリックス中に存在している構造であることが分かった. この異方的なドメイン形状が, 引き裂き性のMDとTDにおける差の原因であると考えられる.