マクロモノマーは, 一般的には, 工業的合成の容易さから連鎖移動ラジカル重合法を用いて官能基を分子末端に導入するプロセスによって合成する. 連鎖移動剤としては一般にメルカプタン系が用いられるため, 分子内にイオウ原子が導入され, マクロモノマーを塗料樹脂に使用する場合には耐光劣化が観察された. イオウに対する耐光性向上の研究はすでに報告したが, 本研究では, イオウを含まないマクロモノマーの合成法に関する研究を行った. 工業的合成の容易さを考えて, ラジカル重合法での合成を前提として二つの方法について研究した. 一つはイオウを含まない連鎖移動剤を用いる方法であり, 他の一つは連鎖移動剤を用いずに官能基を持つ開始剤を用いる方法である. その結果, 高分子量のマクロモノマーを合成する場合には, 4,4′-アゾビスシアノ吉草酸, コハク酸パーオキサイドなどの官能基を持つ開始剤を用いる方法は可能性があると結論した.