ジメチルスルホキシド (DMSO) と水の混合溶媒中で生成する, ポリビニルアルコール (PVA) ゲルの構造を散乱法により研究した. 広角中性子散乱法 (WANS), 小角中性子散乱法 (SANS), 極小角中性子散乱法 (U-SANS), 光散乱法 (LS) を組み合わせて用いることにより, 散乱ベクトルの値Qにして10-4~10Å-1という, 非常に広い範囲の散乱プロフィールを測定できた. WANS測定により, このゲルの架橋点は微結晶であること, SANS測定の結果から, 微結晶の表面状態, 分布の様子などが評価された. SANSプロフィールの低角側に見られる立ち上がりはゲル網目よりさらに大きな構造の存在を示唆する. ゲル化過程の初期において, LS測定によりゲル化とともに起こる液-液相分離による構造が時分割で観察された. ゲル化後期においては, 試料の白濁のためにLS測定が不可能となるため, 液-液相分離による最終的な構造は, U-SANS測定により観察した.