高分子論文集
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イオン交換樹脂に共有結合法によって固定化したグルコースオキシダーゼの活性評価
山内 健王 楠下村 雅人宮内 信之助
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1998 年 55 巻 7 号 p. 373-377

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抄録

官能基としてそれぞれカルボキシル基およびアミノ基を有するイオン交換樹脂にグルコースオキシダーゼ (以下GODと略す) を縮合試薬を用いて固定化し, 固定化酵素の性質を酵素活性, 酵素活性のpH依存性, および反応速度の見地から検討した. 酵素固定化量は樹脂1g当たり陽イオン交換樹脂には55.2μg, 陰イオン交換樹脂には42.3μgとイオン交換樹脂の種類にかかわらず同程度で, 酵素比活性はそれぞれ30℃, pH7において, 290U/mgおよび44U/mgであった. 陽イオン交換樹脂へ固定したGODの比活性は陰イオン交換樹脂へ固定したGODの比活性の値に比べて著しく大きくなり, イオン交換樹脂の官能基が異なることで, 酵素活性の値が大きく変化することがわかった. 酵素活性のpH依存性は, 陽イオン交換樹脂に固定化したGODの場合は遊離の酵素のpH-活性曲線と同様の傾向を示し, 陰イオン交換樹脂では至適pH値が6に移動し, アルカリ側で活性が低いことが明らかとなった. さらに固定化GODの反応速度について検討したところ, 陽イオン交換樹脂に固定化したGODでは, Michaelis定数Kmは2.1mM, 最大反応速度Vmaxは90μM/minとなり, 陰イオン交換樹脂に固定化したものでは, それぞれ, 0.9mM, 14μM/minで, どちらの固定化酵素も遊離酵素のKm値9.1mMよりも小さい値となり, 基質との親和性が増大していることが明らかとなった.

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