抄録
ポリプロピレン (PP) /エチレン-プロピレンラバー (EPR) /タルクからなる三元系ポリマーブレンドにおけるPP結晶の配向状態を, 広角X線回折および透過型電子顕微鏡観察によりブレンド組成および各成分の分子構造との関係において調べた. PPの結晶b軸は射出成形品の表面に対して垂直に配向する傾向が強く, EPRやタルクの添加に伴いその配向度は増加した. PPとして高メルトフローレート (MFR) かつ高規則性のものをEPR, タルクとともに用いた系では極端に高い配向度が得られたが, 低MFRのPPを用いた場合はEPRやタルク添加によりほとんど配向は増加しなかった. 高配向を示す系では, PPの微結晶が不連続性を伴いながらb軸方向に多数積み重なった四角柱構造をとることが明らかとなった.