高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
結晶セルロース粒子の配向性が圧縮成形特性に及ぼす影響
大生 和博飯嶋 秀樹今田 清久
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 56 巻 3 号 p. 141-150

詳細
抄録

結晶セルロース (MCC) を圧縮成形した錠剤の錠剤強度Tは粒子形態すなわちL/D (L, 粒子長径; D, 粒子短径) の影響を受ける. 本研究ではL/Dが異なるMCC粒子の錠剤強度Tの差をMCC錠剤の内部構造と関連づけるために錠剤断面の (1) SEM観察による粒子の配列と (2) X線回折による結晶の配向性を調べた. 錠剤断面のX線回折によりセルロース分子鎖の結晶配向度δを求めた結果, δが高いほどTが増加した. MCC粒子表面および錠剤断面のSEM観察よりMCC粒子内におけるセルロース分子鎖の結晶配向度δは間接的に結晶セルロース粒子の配向を示すと推察した. L/Dが大きな棒状粒子からなる錠剤ほどδが高く, 圧縮の過程において, L/Dが大きいMCC粒子ほど錠剤内部で圧縮面に平行に配向する傾向があった. 粒子がそのように配向するほど粒子間接触面積が大きくなり, 大きなTが発現すると考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top