1999 年 56 巻 3 号 p. 151-158
本研究ではリサイクル容易な汎用結晶性高分子ポリプロピレン (PP) /高強度液晶ポリエステル (LCP) ブレンドに注目し, ブレンドと圧延加工の複合効果について試料内部の微細構造と疲労特性の観点から検討した. PP/LCPブレンドは非相溶系で, LCP相が射出成形方向に沿ってPPマトリックス中に棒状の形で分散している. 圧延加工を行うと, tanδの増加とE' の低下を示し, 延性的な特性が改善された. 繰返し負荷を印加させると, 低圧延率の試料は発熱しやすく, 寿命が短いが, 高圧延率 (40%以上) の試料は繰返し負荷により分子配向するために, tanδの低下とE' の増加が生じ, 耐疲労性が向上した. 特に, 低温で疲労負荷を印加させた場合に, 高圧延率のブレンド試料は補強材 (LCP) 単体よりもはるかに長い疲労寿命を示した.