ポリアミン系分岐高分子を構成単位とするイオンコンプレックス型の液晶系について, 液晶性, 熱的性質および配向構造を検討した. 分岐高分子とアルカン酸あるいはカルボキシル基をもつアゾベンゼン誘導体とのイオンコンプレックスは, 流動性液晶相を形成する. イオン化した分岐高分子は, イオン性液晶に特有なイオン性凝集層をアニオンとともに形成し, 液晶性および熱安定性に直接影響を与える. 分岐鎖の存在は, イオン性凝集層の熱安定性を減少させる. このため, 液晶-等方相転移温度および液晶-等方相転移エンタルピーが低下する. これらの結果は, 適度な分岐鎖の導入が, 液晶性および相転移挙動の制御に利用できることを示している.