抄録
両末端に無水トリメリト酸基を有する水素化ポリブタジエン (TA-HPB) を含有するエラストマー強化ポリアミド66 (PA66) の調製とその特性に関する研究を行った. 耐衝撃強度は, TA-HPBの添加量と, 全エラストマー中の化学変性されたエラストマーの割合によって大きな影響を受けた. エラストマー強化PA66の100重量部に対して, TA-HPBを1.0重量部以上添加することは非常に重要な技術であった. この技術によれば, 化学変性されたエラストマーの量が少ない場合においてさえも高い耐衝撃強を保持する組成物を得ることが可能であった. TA-HPBを添加したエラストマー強化PA66中には, 非常に多数のエラストマー微粒子が観察された. 本研究の成果として, 組成を最適化したTA-HPBを含むエラストマー強化PA6は, 高い耐衝撃性, 高い曲げ弾性率と低い溶融粘度を有する新しいタイプの超耐衝撃性ポリアミド樹脂として提案された.