廃棄された発泡スチロール (EPS) を対象とした省エネ・環境負荷低減型の油化技術の開発を目指して, 付加-開裂型の高い連鎖移動能力が期待できるα-メチルスチレン (MSM) またはその2量体に相当する2, 4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン (MSD) を添加した系でEPSの熱分解による低分子化および油化を200℃付近で検討した. その際, 8種類の球状充てん物を装てんし, 両添加剤の添加量や, 球状充てん物の寸法, 材質などがEPSの熱分解に及ぼす影響ならびに処理時間の影響について調べた. その結果, EPSの処理量が2.5g, 5gともに, 一定重量のMSM, MSDをそれぞれ添加すると, EPSの分子量低下は進行しやすくなる傾向を示した. また, 球状充てん物を装てんすると, 伝熱効率が向上するため, EPSの熱分解に対する促進効果が現れた. 特に, MSM添加系において, EPSの平均分子量がステンレス球の総表面積の増加に対応して低下する傾向を示した. 一方, MSD添加系では, 高粘稠性のために, そのような傾向は見られなかった.
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