高分子論文集
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リン酸エステル-銅錯体の高分子への可溶化と近赤外線カットフィルターの熱可塑化への応用
林 直樹星 元上遠野 浩樹
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2004 年 61 巻 5 号 p. 310-314

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抄録

メタクリロイルオキシエチルリン酸エステルを用いてアクリル樹脂中に銅錯体を導入した近赤外線吸収性フィルターの熱可塑化を目的として, 非重合性のリン酸エステル配位子による銅錯体のポリメチルメタクリレート (PMMA) への導入を検討した. リン酸エステルを配位子として用いて銅錯体を作製し, PMMAへの溶解性を評価したところ, 銅錯体は, アルキルリン酸エステルを用いた時にはPMMA中に溶解しなかったが, エステル基をもつ2-アセトキシブチルリン酸 (ABP) を用いた時にはPMMA中に溶解した. この現象は, 配位子がPMMA側鎖部分と同じエステル基をもつことで, 銅錯体とポリマーとの親和性が向上し, 相溶性が向上したことによると考えられる. また, ABPを用いて作製されたプラスチックフィルターは, 従来の熱硬化型樹脂とほぼ同等の分光特性を有し, かつ加熱プレス加工を行うことができた. これにより熱可塑性の近赤外線吸収性フィルターが得られることがわかった.

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