2005 年 62 巻 2 号 p. 75-80
繊維含有量44vol%の三次元炭素繊維強化フラン樹脂 (3D-CFRFR) を作製し, 1000℃以下の種々の温度で加熱した. 1000℃の加熱による体積収縮は, フラン樹脂単体で50%であったが, 3D-CFRFRでは数%であった. 曲げ強さは加熱処理温度 (HTT) の上昇に伴って減少した. フラン樹脂に対する繊維強化効果はHTT500℃以下で認められた. 加熱に伴う曲げ強さの低下は, マトリックスと炭素繊維境界面のはく離と炭素繊維の損傷による. はく離や損傷はマトリックスのフラン樹脂の熱分解を通して起こる. 炭素繊維積層表面直角方向 (σs, Es) の曲げ強さと曲げ弾性率は, 厚さ直角方向 (σt, Et) のそれらより小さかった. 両方向の曲げ強さおよび両方向の曲げ弾性率には直線関係があり, それぞれσt=2.7σs, Et=1.7Esで表される.