高分子論文集
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高感度センサーを目指したポリエチレングリコール修飾金コロイド担持表面の構築
石井 武彦鈴木 祐子秋山 好嗣大塚 英典片岡 一則長崎 幸夫
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2005 年 62 巻 2 号 p. 81-86

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抄録

アセタールとメルカプト基を有するヘテロ2官能性ポリエチレングリコール (PEG) を用いて5~20nmの金コロイドの表面処理を行い, 高イオン強度下での分散安定性を検討した. 適度な加温処理を施し, PEG鎖長を長くするほど調製したコロイドの安定性は高まった. このようにして調製したPEG化金コロイドの自由末端アセタール基を酸処理によって加水分解し, アンモニアにより末端をアミノ基に変換してアミノ基を有するPEG化金コロイドを調製した. さらにこのようにして得られたアミノ-PEG化金コロイドを活性エステルを導入した金表面に固定した. 表面プラズモン共鳴 (SPR) センサーにより, このようにして構築したPEG化金コロイド担持表面で, タンパク質の非特異吸着反応を高度に抑制することを確認した. これはブラシ状に広がった金コロイド上のPEG鎖が寄与しているものと考察された. また, PEG鎖末端に導入したアミノ基にはさまざまな官能基やリガンドの導入が可能である. 本報ではビオチンを導入し, ストレプトアビジンのセソシングが可能であることを確認した. さらにはこのようにして構築したアビジン表面でビオチン誘導体のセンシングが可能となった. このように, 金コロイド担持表面はSPRセンサーで低分子検出が可能な高機能表面であることが明らかとなった.

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