抄録
阪大病理學教室ヨリ提供サレタ比較的新鮮ニシテ且特殊疾患ナキ邦人屍體ヨリ得タル顎骨55 (永久齒ノ植立セルモノ) ヲ檢材トシ, 是等顎骨ニ植立セル齒牙ニテ實質缺損乃至ハ根端病竈等ヲ有セザル204齒ヲ選定シ, 所謂マラツセ氏上皮群ノ分怖状況ヲ次ノ如キ項目ニ從ヒ精査セリ。ソノ成績ノ概略ヲ示セバ
1.永久齒牙各部位ニ於ケル所見
上下顎齒牙ヲ通ジ, 各部位ニ於クル上皮群ノ分怖量ヲ齒牙ヲ單位トシテ觀ルニ齒頸部19.47%, 根中央部12.72%, 分岐部17.54%, 根端部50.56%ノ存在ヲ示シ, 根端部ニハ最モ多量ニ存在シ, 根中央部ニ少ナシ。之ヲ上下顎別ニ檢スルニ上顎ニテハ齒頸部, 根中央部等ハ下顎齒牙ノ同部位ニ於ケルモノヨリ多シ, 但シ分岐部, 根端部等ハ反對ニ下顎ニ多シ。近遠心的ニハ一般ニ遠心側ニ多量ナリ。次ニ齒槽骨壁ニ接セル上皮群及ビ石灰化セルモノ等ハ齒頸部ニ多ク, 根中央部ニハ少ナシ。之ニ反シ, 白堊質瘤ノ周邊ニ存スル上皮群ハ根端部ニ多ク齒頸部ニ少ナキヲ知レリ。
2.永久齒齒牙別ニ於ケル所見
次ニ齒牙別的ニ檢スルニ上下顎ヲ通ジ, 前齒部ニ最モ多ク, 次イデ大臼齒部ニシテ, 小臼齒部ニハ最モ少ナシ。根端部根管内, 齒槽骨壁ニ接セルモノ, 及ビ根端遠隔ノ部位ニ存スル上皮群亦前齒部ニ最モ多ク小臼齒部ニ少ナシ。白堊質瘤ノ周邊ニ存スルモノ, 竝ニ石灰化セルモノ等ハ稍〓異り大臼齒部ニ多ク小臼齒部ニ少ナシ。近遠心的ニハ前齒部ニテハ僅カニ遠心側ニ多ク, 小臼齒, 大臼齒等ハ之ト反對ナリ。
