口腔病学会雑誌
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リン酸塩を結合材とする鋳造用埋没材に関する研究
第3報結合材配合比と埋没材の圧縮強さとの関係および試作埋没材の諸性能について
渡辺 三雄
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1969 年 36 巻 4 号 p. 215-222

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抄録

著者は高融合金の鋳造にも使用可能な埋没材を開発するために, 第1リン酸マグネシウムとマグネシアクリンカーとを結合材とするリン酸塩系埋没材について一連の研究を行ってきたが, 今回はまず種々の結合材配合比のケイ砂基材埋没材を作って圧縮強さを測定した結果, マグネシアクリンカーの配合量は強さに対して敏感に反映したが, 第1リン酸マグネシウムを減らしても強さはそれほど低下しなかった。これまでの研究結果と上記の成績とを考え合わせた結果, 埋没材が必要な圧縮強さを保ちながら, もっともすぐれた熱膨張性を発揮するための配合としては基材100に対してマグネシアクリンカー10, 第1リン酸マグネシウム5の重量比が最適であると判定された。そしてこの場合の圧縮強さは生型で平均33.0kg/cm2, 900℃加熱後で平均9.8kg/cm2であった。
さらにこの配合比に従ってクリストバライト基材による埋没材を試作して諸性能を測定した結果, 初期凝結時間は平均9分, 反応熱による温度上昇は初期凝結前に終了し, その幅は平均2.7℃, 凝結収縮は平均0.04%であった。また温度膨張は900℃で平均1.98%に達し, しかもクリストバライト特有の膨張曲線上の広い水平部が冷却時にもそのまま現われる点が特に注目された。
またクリストバライトにケイ砂を混合した基材による埋没材をも試験したが, 膨張性能が低下したのみで特別の利点はみられなかった。

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