交通学研究
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地方圏における鉄道需要に関する一考察-パネルデータによる実証分析-
藤田 知也
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2019 年 62 巻 p. 45-52

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抄録

本稿では地方鉄道を対象に、10年間のパネルデータを用いて需要の各種弾力性を通勤・通学・定期外の3区分でそれぞれ推計した。運賃弾力性は通勤が-1.037、通学が-0.742、定期外が-0.831と推計され、我が国の交通需要関数を推計した先行研究と比較すると総じて弾性値は大きいことが明らかとなった。需要を拡大するための施策としては運賃の引き下げに加えて運行本数の増便、最終列車の繰り下げが有用である可能性が定量的に示唆され、社会的便益の観点も考慮すると、利便性向上に係る各種施策においても公的機関が関与することは今後の地方鉄道政策で検討すべき方向性と考えられる。

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