主催: 西部造船会
共催: 関西造船協会, 日本造船学会
p. 15
船舶の運航性能の評価にとって, 波浪統計は重要である. 一般に, 波浪統計は, 過去の観測結果等をもとに有義波高と平均波周期の発現頻度がまとめられ, 数表として与えられている. これを解析的に扱いやすくすることを目的に, 従来から, 対数正規分布やワイブル分布などをあてはめた波浪統計量分布が提案されてきた. しかし, 対数正規分布やワイブル分布であることの理論的根拠はあまり明確ではない. 著者らは, 有義波高と平均波周期は, 長期的な観点からは, ある平衡点に回帰しながら変動することに基づいて, その変動をガウス分布の攪乱源をもつ確率微分方程式でモデル化し, その統計量分布(頻度分布)を理論的に示す. この分布の妥当性は, 実際に計測された有義波高と平均波周期を用いて評価される. さらに, 有義波高と平均波周期の時系列シミュレーションを示す.