主催: 西部造船会
共催: 関西造船協会, 日本造船学会
p. 18
閉塞環境下における操船者の心理感を、熱力学アナロジの観点から説明することを試みた。海域の閉塞性Pと自船の行動ボリュウムVを定義すると、操船者の受ける脅威感Tは、次元的関係からPVの関数となる。これは熱力学の状態方程式に相当する。操船タイミングの善し悪しと関係した効力感Wは熱力学的仕事で表すことができる。達成傾向を内部エネルギUないしは意志Qと見なすことによって、効力感を加えたエネルギ保存則から期待-価値論を説明できる。操船者の心理状態を表すために心理エントロピーの定義を示し、人の意志が冷めることを公理とした熱力学第2法則相当の心理機構を示した。応用例として狭水路航行時の船速が自発的に定まったり、ブレーキングの善し悪しがエントロピで説明できることを示した。