海上交通や操船の安全性の現状評価や将来予測評価、さらには、安全対策の導入効果の検証などを科学的に行うには船の条件、環境の条件等を実際に近い形で再現できる操船シミュレータは力強いツールである。しかし、これまでのところ実験結果を客観的に評価するための≪ものさし≫が不備なため、操船結果の安全面からの評価が主観に頼らざるを得ないのが実情である。その意味から、本研究では、操船シミュレータ実験において操船者が行う操船にどれほどの衝突事故や乗り揚げ事故の危険が包含され、また、どの操船局面において何に対してどれくらい危険であるかを客観的に判定するための≪ものさし≫として、不安全操船状態に着目した安全性評価指標を提案する。そして、この客観指標値と事故発生率の対応関係をもとにした操船の安全性評価手法を提案する。