近年のソーラーボートに見られる小型水中翼船の多くは,前後2枚の全没型水中翼を用いている.これらの艇は,浮上高さを測定して前翼の迎角を変えるなどの方法で前後方向の安定性(縦安定)を保っているが,横方向の安定性(横安定)については制御機構を持っていない.このため,操縦者による舵操作と体重移動によって横安定を制御している.そこで本研究では,全長6mの試験艇を用いて船体ロール角,ピッチ角,操舵角,操縦者の体重移動量などを計測した.次いで,走行シミュレーションをx,y,z軸方向とx,y,z軸周りの6自由度において計算し,実船試験との比較を行った.シミュレーション結果は実測値とよく一致した.