フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
Print ISSN : 1347-4057
論文
「沖縄の非婚シングルマザー」像を問い直す
―生活史インタビュー調査から―
平安名 萌恵
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 19 巻 p. 19-32

詳細
抄録

非婚シングルマザーをめぐる先行研究では、1)自由なライフスタイルを求めて非婚で子どもを出産・養育する「積極的非婚シングルマザー」と2)妊娠後、パートナーに結婚や子どもの認知を拒否され、意図せず非婚で子どもを産み育てることになった「消極的非婚シングルマザー」の二つに区分され、異なる議論が展開されてきた。この2類型のどちらにも当てはまらないケースとして示されてきたのが、「沖縄の非婚シングルマザー」である。既存の沖縄研究において、相互扶助的でおおらかな共同体を前提として、積極的/消極的に拘わらず、「自由」で「奔放」に子どもを産み育てる「沖縄の非婚シングルマザー」像が提示されてきた。本研究は、沖縄における非婚シングルマザーを対象とした生活史インタビュー調査結果を基に、「沖縄の非婚シングルマザー」像の問い直しをすることを目的とした。

結果として、沖縄における非婚シングルマザーは、男性優位の共同体のなかで、「気にもかけられず、期待もされてない」といった、放任的な状況に置かれていることが明らかになった。先行研究で示された相互扶助的な「沖縄的」共同体像が、ジェンダー格差を見落とした一面的なものであることが示唆された。女性たちは、共同体に頼れないからこそ、自分自身だけを頼りに意思決定しながら生きているといえる。

著者関連情報
© 2020 関西社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top