フォーラム現代社会学
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巻頭言
論文
  • ―野宿を経験した一人の男性とハウジング・ファーストの支援実践―
    山北 輝裕
    2020 年 19 巻 p. 5-18
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー

    本稿は、長期野宿者に対して居宅をすみやかに提供し、居宅移行後もケアを継続する支援実践であるハウジング・ファーストを質的調査から検討する。なかでもアパートに出現する「幽霊」に悩む男性の経験をめぐって、その男性、支援者、福祉事務所、不動産屋、地域住民との間で経験の分離がどのように立ち現れ、そしてそれに人々がどのように向き合うのかという問題に着目した。そのことで、ハウジング・ファーストのフィデリティである無条件性がどのように達成されているのかが明らかになった。当事者と支援者は経験の分離から離脱せず、両者が共有する「経験の飛び地」を志向することによって、相互作用を継続させた。そのことが結果的に当事者に変容を迫らない無条件性を成立させていた。しかし経験の分離が保たれたまま「飛び地」を志向することは、両者を取り巻く社会においては容易に共有されず、否定されていた。住居提供にとどまらず、「飛び地」を拡大することに当事者たちの生活を支える社会運動としてのハウジング・ファーストの意義が存在する。

  • ―生活史インタビュー調査から―
    平安名 萌恵
    2020 年 19 巻 p. 19-32
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー

    非婚シングルマザーをめぐる先行研究では、1)自由なライフスタイルを求めて非婚で子どもを出産・養育する「積極的非婚シングルマザー」と2)妊娠後、パートナーに結婚や子どもの認知を拒否され、意図せず非婚で子どもを産み育てることになった「消極的非婚シングルマザー」の二つに区分され、異なる議論が展開されてきた。この2類型のどちらにも当てはまらないケースとして示されてきたのが、「沖縄の非婚シングルマザー」である。既存の沖縄研究において、相互扶助的でおおらかな共同体を前提として、積極的/消極的に拘わらず、「自由」で「奔放」に子どもを産み育てる「沖縄の非婚シングルマザー」像が提示されてきた。本研究は、沖縄における非婚シングルマザーを対象とした生活史インタビュー調査結果を基に、「沖縄の非婚シングルマザー」像の問い直しをすることを目的とした。

    結果として、沖縄における非婚シングルマザーは、男性優位の共同体のなかで、「気にもかけられず、期待もされてない」といった、放任的な状況に置かれていることが明らかになった。先行研究で示された相互扶助的な「沖縄的」共同体像が、ジェンダー格差を見落とした一面的なものであることが示唆された。女性たちは、共同体に頼れないからこそ、自分自身だけを頼りに意思決定しながら生きているといえる。

特集 社会学は死んだのか?
  • 荻野 昌弘
    2020 年 19 巻 p. 33-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー
  • 井上 俊
    2020 年 19 巻 p. 36-47
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー

    日本の社会学は、第二次世界大戦後、1950~60年代にかけて急速に発展した。当時の主流は農村社会学と家族社会学、そして学説研究であった。戦後、GHQの方針もあって、日本社会の近代化・民主化が大きな課題とされ、社会学はとくに「いえとむら」に残る前近代性の実態解明と克服に貢献することを期待された。その意味で、当時の社会学には実践的・政策学的な関心が強かった。学説研究に関しては、米国社会学の影響が強まり、パーソンズやマートンらの構造-機能主義、リースマンやミルズらの大衆社会論などが紹介され、広く受け入れられた。

    1970年代に入ると、それまで大きな影響力を持っていた構造-機能主義とマルクス主義がともに弱体化し始め、シンボリック・インタラクショニズムや現象学的社会学など多くの新しい観点が登場し、研究テーマも多様化する。大衆社会論を引き継ぐような形で情報社会論、消費社会論、脱工業社会論なども盛んになり、80年代にはいわゆるポストモダニズムの潮流が形成され、90年代以降のグローバル化の進展とあいまって、「(欧米)近代市民社会の自己認識の学」としての社会学のあり方を脅かす。一方、80年代以降やや敬遠され気味であった実践的・政策学的関心は、バブル崩壊、オウム真理教事件、自然災害と原発事故などを契機に再び活性化した。

    日本の社会学のこうした歴史と現状を踏まえ、ブラヴォイの「パブリック社会学」論やジャノヴィッツの「工学/啓発モデル」論を参照しながら、社会学的知の多様性と社会学のディシプリンとしての曖昧性の擁護について最後に触れたい。

  • ―科学との類似性と異質性のあいだで―
    筒井 淳也
    2020 年 19 巻 p. 48-59
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー

    持続的な文系縮小圧力があるなか、社会科学の学問を「科学的」かどうかによって優劣判断するような言説が目立つようになっている。このような圧力を受けて、社会学の立ち位置をどのように考えたらいいのかについて考察するのが本稿の目的である。経済学のように科学に近似していくという戦略、科学概念を拡張してそのなかに社会学を入れるという戦略、「科学」とそうでない学問との境界線の揺らぎを指摘してそもそもの判断基準を相対化するといった戦略などがあるが、いずれも有効性に限界がある。社会学の独自性が狭い意味での科学とは異なるところにあるのなら、その立ち位置を外に向かって丁寧に説明することを続ける必要がある。

  • ―キリスト教と神道の間―
    赤江 達也
    2020 年 19 巻 p. 60-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー

    宗教学や宗教社会学の領域では、二〇世紀末までに、「西洋-キリスト教的」な宗教概念への批判的な視点は自明なものとなっていた。だが、宗教社会学の古典的な概念や理論への批判は、宗教をめぐる議論をわかりにくいものにしている。宗教概念批判の後で宗教をどのように語るのかは、現在も進行中の課題である。

    こうした問題関心の下、本稿では、近現代日本の宗教史においてくりかえし現れる「××は宗教ではない」という語りを「「非宗教」語り」という対象として設定し、宗教社会学における課題として提示することを試みた。

    本稿の仮説的な主張は、次のようなものである。「非宗教」語りは、宗教言説のなかに生じる構造的空隙としての「(非)宗教的なもの」の領域をつくりだしてきた。このような観点から、本稿では、「非宗教」語りの系譜として、戦前期における「神社非宗教論」、戦後における政教分離訴訟の対象という系譜について概観している。

    こうした「非宗教」語りは、現在の宗教研究における宗教概念批判の潮流ともつながるところがあり、日本近代の問題であると同時に、「非西洋」近代の問題でもある。また、本稿の試みがもつ現在の社会学への示唆として、日本においてキリスト教と神道を同時に考えること、人文学と社会科学の間で考えることの意義について論じている。

  • ―福島原発事故とふるさと剥奪―
    関 礼子
    2020 年 19 巻 p. 70-82
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー

    福島原発事故による避難者が「ふるさと」に帰還しはじめた。社会学はこの状況をどのように捉えるのだろうか。本稿は、避難者が帰還しても戻らない「ふるさと剥奪」被害を論じる。「ふるさと」とは、人と自然がかかわり、人と人とがつながり、それらが持続的である場所のことである。だが、帰還後も人々は「ふるさと」を奪われたままで、復興事業はショック・ドクトリンをもたらすばかりである。本稿は、福島県の中山間地の集落を例に、避難を終えても終わらない被害を共同性の解体という点から捉え、「ふるさと剥奪」の不可逆な被害を論じたい。

  • ―「社会学は死んだのか?」シンポから考えたこと―
    松田 素二
    2020 年 19 巻 p. 83-91
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー
  • 社会の全体性・複雑性を考察し、個別性・多様性の視点から世界を脱構築する社会学
    樫村 愛子
    2020 年 19 巻 p. 92-97
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/05/29
    ジャーナル フリー
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