フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
Print ISSN : 1347-4057
小特集 京都を複眼的に解き明かす
「地域とのかかわりについてのアンケート」から見る関係人口と京都
岡本 裕介
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2024 年 23 巻 p. 107-115

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抄録

この報告では、「関係人口」という語の使われ方を、社会状況と関連づけながら整理した。また、国土交通省の「ライフスタイルの多様化と関係人口に関する懇談会」のもとで行なわれた「地域とのかかわりについてのアンケート」のデータを使って、特に京都を訪れる関係人口がもつ特徴の一部を見た。「関係人口」は、もともとは過疎化の進んだ地域の定住人口を増やすことを狙っていたと思われる。当該地域と最も深い関わりをもつ定住者(定住人口)と、浅い関わりしか持たない旅行者(交流人口)との中間には、質、量ともに様々な関わり方があり、このような関わりをもつ人々が「関係人口」と呼ばれるようになった。関係人口の考え方は、人々が自発的に自由に移動し、しかも複数の地域と関係したり関心をもったりすることを前提に、そのような人を一定量集める仕組みとして利用されている。ただし同時に、少なくともそのうちの一部は、主体的に、場合によってはクリエイティブに活動することを期待されている。関係人口は、量としては、どちらかと言えばより期待されている農村地への訪問よりも都市や郊外への訪問が多い。京都府は訪問型の関係人口(居住人口比)が多いことがわかっていたが、やはり多くは都市圏への訪問である。全体としては、観光地としてのブランドが影響していると思われる。他方、都市圏外に関しても、住民やオンラインコミュニティの影響が顕著であるという特徴がある。

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