フォーラム現代社会学
Online ISSN : 2423-9518
Print ISSN : 1347-4057
特集Ⅰ 世代論から見た日本社会
世代研究の展開と課題 : 世代間ギャップと次世代研究
佐藤 友美子
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2007 年 6 巻 p. 5-14

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抄録
企業の一部署である次世代研究所の研究スタンスは、これまでの常識に囚われずに生活者の実態に迫ることであり、世代研究もその延長線上にある。目的は世代にラベルを貼ることではなく、理解を深めることにあり、学問的な意味を追求するものではない。若い世代に関する調査においてもスタンスは同様であり、豊かさと情報化が急激に実現したことにより、上の世代からは理解し難い若い世代の実感に迫り、世代間に生じているギャップの解消に役立つことを目指して取り組んでいる。働き方や情報という特に若い人に特有の傾向がでていると思われる事象について、ライフヒストリー全体を聞き取るデプスインタビューや若者たち自身の言葉で語るワークショップという新しい形で調査を実施している。働き方に関しては、サラリーマン層の「好きなことを仕事にできなかった」という気持ちの重さやそれ故の迷いや悩みを明らかにし、新たな出発への道筋を探った。また、情報活動に関しては、若者たち自身の言葉によって、使っている情報メディアの意味や重要度、またコミュニケーションにおける課題等を探った。大きな環境の変化は若い世代に新しい価値観をもたらし、大人世代の理解を困難にしている状況がある。しかし、今後の社会を考える時、新しいライフスタイルや価値観を知ることは大人世代にとっても不可欠であり、世代研究はそのきっかけとして有効である。
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© 2007 関西社会学会
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