2013 年 2013 巻 60 号 p. 121-124
2011年に栃木県内の園芸作物圃場で採集したヒラズハナアザミウマ,ミカンキイロアザミウマ,ミナミキイロアザミウマ,ハナアザミウマ,ビワハナアザミウマ,ネギアザミウマの6種18個体群の雌成虫を用いて,主要な防除薬剤15剤の殺虫効果を調査した。その結果,全ての供試種および個体群に高い殺虫効果を示す薬剤は認められなかった。ミカンキイロアザミウマでは,全ての個体群に効果の高い薬剤は認められず,一部の個体群に高い効果を示したのはプロチオホス,マラソン,スピノシン剤,ピリダリル,フィプロニルであった。ミナミキイロアザミウマでは,エマメクチン安息香酸塩とピリダリルの殺虫効果が高かったが,その他の薬剤は総じて効果が低かった。ヒラズハナアザミウマ,ハナアザミウマではネオニコチノイド剤の効果はばらついたものの,合成ピレスロイド剤や有機リン剤,スピノサド剤といった主要な薬剤の効果は高かった。ビワハナアザミウマはエマメクチン安息香酸塩の効果が中程度であったものの,大半の供試薬剤の効果が高かった。ネギアザミウマには,ネオニコチノイド剤,有機リン剤のプロチオホス,アセフェート,スピノシン剤,フィプロニルの効果が高かったものの,合成ピレスロイド剤,有機リン剤のマラソン,エマメクチン安息香酸塩,ピリダリル,クロルフェナピルでは個体群間差が大きかった。