2014 年 2014 巻 61 号 p. 40-42
2007年5月,栃木県那須塩原市のイチゴほ場で,主に下葉の葉柄が小豆色に変色し,生育の停滞や萎凋枯死,根腐症状を呈する病害が発生した。根部罹病組織からは,Pythium属菌が高率に分離された。分離菌株のイチゴへの接種により,原病徴が再現され,接種菌が再分離された。分離菌株は,形態的な特徴,既報の菌株とのrDNA ITS領域の相同性により,Pythium spinosum Sawada,P. sylvaticum Campbell & Hendrixとそれぞれ同定した。イチゴピシウム根腐病の病原にはP. helicoidesが既に報告されており,本病の病原としてP. spinosum,P. sylvaticumを追加したい。