2024 年 71 巻 p. 76-79
茨城県におけるクワコナカイガラムシ(以下,クワコナ)の発生予察に役立てるため,日本ナシの開花日と本種の越冬卵の孵化日との関連について検討した。実験室内によりクワコナの発育零点と有効積算温度定数をそれぞれ10.9℃,166.9日度と決定し,1992年から2023年までの茨城県笠間市の過去の気象データから,各年のクワコナ越冬卵の孵化日を推定した。推定した孵化日と各年の日本ナシの開花記録を照合すると,年々早くなる傾向が見られた。2015年から2023年までの茨城県笠間市のデータを用いて,ナシの品種別,開花状況別のクワコナの孵化予測日との関係を線形回帰分析で調べると,‘幸水’の満開日と開花終わり日を目的変数とした場合に孵化推定日を当てはまり良く予測できた。県内の他の地域においても,‘幸水’の満開日は他の品種に比べてクワコナの孵化予測日への当てはまりがよかったことから,茨城県においては‘幸水’の開花日を指標としたクワコナ越冬卵の孵化日の予測が可能と考えられた。