関東東山病害虫研究会報
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土壌の湛水化がジャガイモそうか病の発生に及ぼす影響
仲川 晃生中村 吉秀菅 康弘迎田 幸博
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2006 年 2006 巻 53 号 p. 23-28

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抄録
長崎県における水田裏作を利用したジャガイモ栽培ではそうか病の発生が認められるため, 本病の発生に及ぼす湛水の効果について野外設置ポット条件下で調べた。湛水期間が1ケ月間と短い場合は, そうか病の発生は対照とした畑状態区と差がないが, 湛水期間が4ケ月間に及ぶと発病は有意に低下した。しかし, 湛水後に水稲を栽培した場合には, そうか病は畑状態区と同程度の発生を示し, 抑制されなかった。このことから, 水田裏作のジャガイモに発生するそうか病は, 病原菌が水田状態でも土壌中で生残するために生じる可能性が示唆された。この対策として, 湛水に有機物 (麦稈) を施用して土壌を急激に還元状態とする手法は, そうか病の発生を湛水のみの場合よりも有意に低く抑制することができ, 水稲栽培条件下でも有効であった。しかし, 拮抗菌として Bacillus 属菌を同時処理しても効果の更なる高まりは認められなかった。
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© 関東東山病害虫研究会
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