抄録
キュウリ黄化えそ病は, ミナミキイロアザミウマが媒介する Melon yellow spot virus (MYSV) を病原とする病害であり, 神奈川県では2003年の初確認以来発生地域が拡大している。そこで, 本病の発病とミナミキイロアザミウマ数との関係を知るために, 2004~2005年にキュウリ黄化えそ病の発生が継続している平塚市の施設内外において,本病の発病株率と青色粘着トラップに誘引されたミナミキイロアザミウマ数を調査した。その結果, 半促成栽培では, 定植2ケ月後から収穫終了時までの間に誘引されたミナミキイロアザミウマの総数とキュウリ黄化えそ病の発病株率との間に相関関係 (p<0.01) が認められた。抑制栽培では, 定植後2ケ月間の生育期間中に誘引されたミナミキイロアザミウマの総数と, 黄化えそ病発病株率との間で相関関係 (p<0.01) が認められた。以上のことから, 周年キュウリを栽培している地域でのキュウリ黄化えそ病対策として, 半促成栽培では収穫期後半のミナミキイロアザミウマの侵入・増殖を防ぐこと, 抑制栽培では育苗期間中の防除を徹底し, 半促成栽培への持ち込みを遮断することが重要である。