要旨: 高等教育機関での、演劇的手法の活用の状況を知るため、全国の国立大学のシラバス検索を行い、4738件のデータを得た。本研究では、とりわけコミュニケーションスキルの獲得が重視される看護学教育分野に焦点を当て、「演劇的手法が用いられている授業」と判定されるデータを69件抽出した。これらは全て「ロールプレイ型」の演劇的手法を用いるものであった。ロールプレイを「需要者・供給者・観察者」のロールを演じるものをカテゴリーI、「需要者・供給者」のロールを演じるものをカテゴリーII、「供給者」のみを演じるものをカテゴリーⅢと分類したところ、それぞれ2件、4件、10件であり、不明なものが53件であった。ロールプレイについての設計指針として、少数の例外を除き、授業担当者は「供給者」と「需要者」と「観察者」の3つのロールを意識して授業を設計するのが良いのではないか、との提案を行い、ロールプレイの体験を活かした上での「演劇創作・上演」型授業の導入を提案した。