2011 年 7 巻 p. 47-56
看護大学の救急看護学の授業(学生148名)に「協同」に基づくグループ・プロジェクト法を導入して、教育目標の達成度を明らかにするため、授業の前後に質問紙調査を行った。質問紙の内容は、協同作業認識尺度、自己教育力尺度、自尊感情尺度、自己効力感尺度、協同技能尺度である。その結果、すべての尺度の総平均値が授業後に有意に高くなり、各尺度の多くの因子の平均値も授業後に高くなっていた。
このことから、次のような点で教育目標を達成するために、今回のグループ・プロジェクト法による協同的な取り組みの有効性が示唆された。⑴知識習得については、期末試験の結果から一斉学習と同等の学習成果を示した。⑵態度的側面の変化についても、①課題達成のために協同的な取り組みを肯定的に認識するようになった、②自己教育力を促進する学習の技能を修得できた、③自尊感情にポジティブな影響をもたらした、④全体的に自己効力感のレベルを高めた、⑤協同技能の活用を促し、それが更に自尊感情、自己効力感を高めた、などの可能性が示唆された。