教育政策は、国を越えた活動主体によって規定される時代に入った。生涯学習は、個人の自立を目指し、国民形成から個人の能力育成へと教育目的を変えるように促すが、同時にまた、グローバルな教育産業の活動領域を整備し、教育界を能力争奪の経済的・政治的な舞台に変えることも意味している。今日すでに、高等教育は、このように国家利益を越える段階に入っている。あるいはまた、国際的な教育指標の確定、とりわけ国際学力調査は、競技場(アリーナ)を国際化するので、国の教育政策に少なからぬ影響を及ぼすようになってきている。技術革新や世界的な産業構造の変化は、伝統的・固定的な職業専門性の育成という教育システムを崩しつつあり、知識量や技能の正確さ・スピードという学力規定は考える力や学び続ける力へと重心を移さざるを得なくなっている。多文化・多民族・多言語の共存・協調へと向かうEUは、OECDを舞台にして教育制度・教育理念を組み替えつつあり、日本もこれと無縁ではない。