本稿は、高大接続の問題点に、2つのアプローチにより迫り、それを踏まえて改善のための基本的構想を提示したものである。大学入試と高校教育の多様化は、高校教育の学力的・学習内容的拡散、受験シフトをもたらした。また、高校までに身についた技能と大学で必要な技能の分析の結果、「パフォーマンスにもとづく評価」が適する技能・能力が、大学での勉学のために必要なことが明らかになった。したがって、大学で必要な技能を含む学力・能力の形成にも資する高校教育課程を前提として、受験シフトを防ぐように工夫された、高校での成績の評価に基づく大学入学システムが必要なのである。