2013 年 80 巻 1 号 p. 39-51
本稿は、1970年代以降本格化したヴァルドルフ教員養成(シュタイナー学校の教員養成)の公的地位の獲得運動、とりわけ1993年の連邦行政裁判所判決で最終的に勝訴するまでの裁判闘争を詳細に分析する。分析を通して、私立学校法制の中で構築されてきた〈等価性の原則〉が、大学における教員養成の次元にまで拡大適用されることで、ヴァルドルフ教員養成の公的地位が認められたこと、またこのことにより教員養成の国家独占というドイツの長い伝統が初めて否定され、公的地位を有する教員養成のオルタナティブが、ドイツの公教育体制の中に位置づけられたことを明らかにした。