教育学研究
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特集:学習観の転換
人工知能とエンハンスメントの時代における「学ぶ意味」と「学力」
―「人工知能と人間社会に関する懇談会」諸資料の批判的検討を通して―
斎藤 里美
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2017 年 84 巻 4 号 p. 410-420

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抄録

 本稿の目的は、人工知能とエンハンスメントの汎用化が「学ぶ意味」や「学力」をどのように変容させるのか、教育学にもたらす課題は何かを考察することである。人工知能による教育への影響については、すでに内閣府(2017a)が言及している。そこでまずはこの資料を分析し、有用性の観点から学習を意味づけることの限界を指摘した。次に倫理学研究からのエンハンスメント批判を援用しながら、人工知能とエンハンスメントの時代においては、有用性と対極の「現在的レリバンス」や「教養」「学びへの信頼と希望」によって「学ぶ意味」と「学力」を再定義する必要があることを示した。

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© 2017 一般社団法人日本教育学会
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