教育実践学研究
Online ISSN : 2436-0945
Print ISSN : 1880-2621
国語科教育実践用語の用法をめぐる問題
ー「対話」ブームの中で考えさせられること一
大内 善一
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 12 巻 p. 31-38

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抄録

本小論では、「対話」という用語の使用実態に考察を加え、その用法をめぐる問題を明らかにすることを目的としている。近年、国語教育界では「対話」という用語が濫用されている嫌いがある。その用法が言語活動やその形態といったレベルで捉えられる傾向がある。「対話」という用語は、本来「対話の哲学」とか「対話的思考」「対話的精神」といった言い方で、使用されている。要するに哲学用語なのである。ひと言では単純に言い尽くすことのできない巨大用語の一つである。このような用語を実践レベルで安易に使用することに強い危倶を抱いている。絶対に使用すべきでないとは思わないが、その概念を十分に吟味して、より適切な用い方をすべきであろう。巨大用語を実践レベルで安易に使用する傾向は、国語教育界に限らず教育界全体に見られる悪しき風潮である。本小論がこうした風潮に一石を投ずることになれば幸いである。

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© 2008 教育実践学会
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