抄録
本研究では中学校理科教科書のデータ解釈の特質を明らかにするため,データ解釈の扱い方や記述を分析した。その結果,変数に着目したデータ解釈は,学年進行とともに増えるわけではないこと,全体の約3割と少ないこと,物理分野に多く化学分野に少ないこと, 「力と圧力」「電流と磁界」「気象観測」「力学的エネルギー」の内容項目に多いこと,「力の大きさとばねの伸びの関係」「圧力」「水圧」「音の大きさや高さ」「電流と電圧の関係」「水の温度上昇と電流を流した時間,電力との関係」「電磁誘導と発電」「質量変化の規則性」「唾液の働き」「気象の観察」「雲のでき方」「斜面に沿った物体の運動」「仕事の原理」「位置エネルギーの大きさ」の実験・観察内容に多いことが明らかとなった。さらに,探究の問いに対応させるため,データを解釈する際の着眼点を示す問いを記述していることも明らかとなった。