杏林医学会雑誌
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小児下肢長管骨骨折後の長径変化 : 特に利き手との関係について
布田 由之
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1980 年 11 巻 4 号 p. 387-391

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抄録

小児骨折後に長径成長変化が起ることは良く知られている。影響する因子として年齢, 骨折部位, 骨折の型などがあるが, いまだその関係は不明瞭で統計的に有意の差を示すものはない。今回我々はcerebral control, つまり利き手dominant handに対して骨折側が同一か(dominant), 対側か(non-dominant)によって差があることに気づき, しかも大腿骨々折例で統計的に有意であるとの結果を得た。症例は107例(大腿骨46例, 脛骨61例)である。大腿骨ではdominant 20例, 平均7.8mm. non-dominant 26例, 平均12.1mm(P<0.05)。脛骨ではdominant38例, 平均5.7mm. non-dominant23例, 平均6.3mm(P<0.05)。大腿骨々折例のみに5%以下の危険率で有意の差を示した。1979年, Mealsも同様な見解を報告している。non-dominant側の下肢は起立, 歩行時のバランスをコントロールしており, その負荷が血流の増大を来して過成長を招くのではないかと推察する。

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© 1980 杏林医学会
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