杏林医学会雑誌
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Wiskott-Aldrich 症候群 : ITP の母親から出生し, Polymerized flagellin 抗体測定等により診断を確定した 1 例
阿部 好正菅谷 憲夫鈴木 功一渡辺 言夫
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1980 年 11 巻 4 号 p. 435-441

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抄録

症例はidiopathic thrombocytopenic purpura (ITP)と診断された母親から出生した男児である。生下時より点状出血がみられ, 症状と抗血小板抗体が証明されたことなどから新生児ITPとして治療したが, 経過中, 免疫不全症候群の一つであるWiskott-Aldrich症候群(WAS)を疑い, 種々の検査により診断を確定した。WASとしての症状は典型的ではないが, 同種血球凝集素価の低値の他, Salmonella adelaideより作成されたpolymerized flagellin (POL)に対する抗体上昇不全, SK-SD, Candida, DNCB遅延型反応陰性など, 近年注目される手技によって診断ができた症例である。治療にはtransfer factorを使用した。稀な疾患であること, ITPの母親から出生したこと, 新しい診断手技, 治療を行なったことから, 症例報告する。

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© 1980 杏林医学会
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