杏林医学会雑誌
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実験的骨髄炎モデルにおける骨組織の酵素組織化学的検討
安藤 邦彦
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1988 年 19 巻 4 号 p. 447-454

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抄録

実験的骨髄炎モデルを用い,炎症部骨組織のアルカリ性ボスファターゼ(ALPase)活性がどのように変化するかを光顕的および電顕的に検索した。骨髄炎をDekelらの方法を用いて作製し,ALPase活性はクエン酸鉛法により検出した。ALPase活性は,光顕的に骨基質に広く認められた。感染後2週では,対照群と比べて反応はやや弱くなり,骨皮質内でも,骨髄腔より離れるほど活性がより減弱する傾向を示した。4週間後には活性は再び増強し,対照群と同程度に回復した。電顕的には,ALPase活性を示す反応産物は,骨芽細胞の細胞膜に一致して局在した。菌接種2週間後では,骨芽細胞にみられる活性は骨基質側では消失し,骨髄側および隣接する骨芽細胞に面する部位にのみ限局して認められた。ALPase活性は,骨組織炎症の進行や修復の過程と関連して変化すると推測され,骨髄炎の臨床像をin situで解明を図る上でこのような酸素組織化学的な検索は有効な手段と考えられる。

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© 1988 杏林医学会
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