杏林医学会雑誌
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ヒトの大胸筋の動脈分布について
横山 寿光
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1992 年 23 巻 4 号 p. 539-555

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抄録

日本人成人遺体25体,50体側の大胸筋の栄養動脈を検索した結果を報告する。筋全体に分布する動脈の起始部と分布状態により6型に分類した。I型:胸肋部と腹部の内側に内胸動脈(Tin)が,鎖骨部全体と胸肋部の外側に胸肩峰動脈(Ta)が,腹部に腹部動脈(Pab)が分布し,各々単独枝で鎖骨下動脈および腋窩動脈から起始する。II型:TaとPabが共同幹を形成。III型:PabがTa以外の動脈と共同幹を形成。a型:Pabが腹部に分布する。b型:Pabが腹部から欠如。これらの型で最も高頻度はI-a型で40.0%,次いでII-a型で26.0%であった。鎖骨部下半と胸肋部の上1/3に分布するTaの枝の上部枝は,C型(胸筋枝から分枝)が最大で(46%),次いでB型(三角筋枝から分枝)が22.0%出現した。Pabは5%以上の分布面積比をもつa-2型が68%出現した。各動脈の分布面積比の平均はTinが41.8%,Taが50.4%,Pabが9.3%で,本筋の栄養動脈の数と出現率は3本が80%,2本が16%であった。

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© 1992 杏林医学会
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