杏林医学会雑誌
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rTthポリメラーゼとKi-ras癌遺伝子プライマーを用いたin situ PCRにおける最適反応条件の検討
上杉-早川 るり子長島 鎮阪井 哲男住石 歩中山 裕巳古屋 博吉永 惠実山口 和克松村 讓兒脇坂 晟
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1999 年 30 巻 1 号 p. 37-45

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抄録

組織あるいは細胞内の標的とする遺伝子の局在を可視化するin situ PCRについて,その前処理として行う組織固定法,蛋白消化処理法, DNA損傷部位のマスキング法などの至適反応条件を検討した。BALB/C mouseの肝組織についてKi-ras癌遺伝子のエクソン部分を標的とするプライマーを用い,逆転写反応(RT)とDNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の両方を触媒するrTth DNAポリメラーゼを使用して検討した結果,等張緩衝ホルマリン液による浸漬固定は15〜24時間が, pepsin処理は2mg/ml 0.1N HClの濃度で15〜17分間が最適条件である事が分かった。更にPCRの前に,ホルマリン及びパラフィン包埋時に生じたと考えられるDNA鎖損傷部位からのDNA合成反応を抑制するため, ddTTPを用いたDNA合成開始部位のマスキングを行う必要があることを明らかにした。

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© 1999 杏林医学会
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