杏林医学会雑誌
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Monoclonal抗体を用いた新しいLipoprotein (a)測定系によるLp(a)の臨床的有用性の研究
久保野 勝男
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2000 年 31 巻 1 号 p. 31-45

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抄録

モノクローナル抗体を用いた新しいリポプロテイン(a)「Lp(a)」のELISA測定法を開発した。Lp(a) phenotypeを明らかにした試料について,既存の測定系と本法で測定した結果の差異(LP-RATIO)から,本法は既存の測定系に比してapo(a)サイズの短いタイプに有意に反応することを確認した。そこで,各種の脂質パラメータとの比較により,本法を用いたLp(a)の新たな臨床的有用性について検討した。特に虚血性心疾患患者におけるLp(a)の測定意義について検討し,虚血性心疾患患者ではapo(a)サイズの短いphenotypeを持つケースが多いことが示唆された。さらに,虚血性心疾患患者の平均Lp(a)値は健常人よりも高値傾向にあるがLp(a)低値(≦40mg/dl)の範囲でLCATの亢進が認められ, Lp(a)高値(>40mg/dl)ではLCATの亢進が認められず, HDL亜分画や他の脂質パラメータの測定結果を含めて検討した結果, Lp(a)のLCATを介したHDL代謝への関与が示唆された。

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© 2000 杏林医学会
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