杏林医学会雑誌
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高齢者の血栓性疾患における血漿D-dimerと凝固,線溶,脂質因子及び大動脈硬化病変との関連
林 滋脇坂 晟
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2002 年 33 巻 3 号 p. 129-135

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抄録

外来通院中の脳梗塞(31例),虚血性心疾患(23例),下肢動脈血栓症(2例),腹部大動脈瘤(1例)で,血中のD-dimerや凝固・線溶・脂質を測定し,D-dimer高値例では腹部超音波検査で大動脈瘤の有無を検索した。D-dimerは,血栓性疾患全体では213ng/mlと基準値の1.4倍で,脳梗塞では205ng/ml,虚血性心疾患では201ng/mlと両者に差はなかった。D-dimerは,F1+2 (r = 0.59),フィブリノーゲン(r = 0.47),年齢(r = 0.39)と有意の相関が認められた。しかし, TM, TAT, PC, tPA-PAIC, TC, TG, HDL, LDLとは有意の相関は得られなかった。D-dimer高値例(400ng/ml以上)で,腹部超音波検査を行い,8例中6例に腹部大動脈瘤を認めた。高齢者の血栓性疾患における血中のD-dimerは,疾患の血液凝固状態をよく反映し,異常高値例では腹部大動脈瘤の存在も考慮する必要がある。

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© 2002 杏林医学会
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