杏林医学会雑誌
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院内感染起因菌と推測されるEnterobacter cloacae, Escherichia coli, Klebsiella oxytocaに保有を認めたbla CTX-Mに関する分子遺伝学的研究
遠藤 英子
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2005 年 36 巻 3 号 p. 145-159

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抄録

分解基質拡張型β-ラクタマーゼ産生腸内細菌の拡散の現状を分子遺伝学的に解析した。2002年4月〜2003年12月の間にT大学病院の患者から分離された腸内細菌科細菌株3691株からESBL産生菌として252株を選択した。さらにCTX-M遺伝子の検出を行い, K. oxytoca 17株, E. coli 7株, E. cloacae 1株の25菌株において, bla CTX-Mが確認された。塩基配列の結果から, すべてCTX-M-1グループに属しており, 22株がbla CTX-M-3を, E. coliとK. oxytocaのそれぞれ1株はbla CTX-M-15を保有していた。E. cloacaeはbla CTX-M-3と共に染色体性Amp C型β-ラクタマーゼを産生していることが推測された。アミノ酸配列の系統樹から, E. coli 1株はCTX-M-1グループに属するESBLを産生する新型のバリアントであることが確認された。

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© 2005 杏林医学会
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