杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
悪性腫瘍第1集
乳癌治療の現状と展望
井本 滋
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 43 巻 4 号 p. 145-150

詳細
抄録

 乳房温存療法,センチネルリンパ節生検,ラジオ波焼灼治療,遺伝子発現に基づく薬物治療,そして分子標的治療の現状と展望について概説する。外科治療は乳房部分切除とセンチネルリンパ節生検によって,乳房を喪失し,術後リンパ浮腫などの後遺症に悩まされる患者を半減させた。また,マンモグラフィ検診や超音波検診によって,早期乳癌の発見率が高まっている。そこで,ラジオ波焼灼治療は乳管内進展が限局した早期乳癌において,乳房温存療法と同等の治療効果が期待されるため,現在臨床試験を行っている。一方,薬物治療はER,HER2,Ki67の分子マーカーを指標とした特性に基づいて治療方針が決められている。よりきめの細かい薬物治療の個別化として遺伝子発現に基づく薬物治療と分子標的治療の開発が進められている。

著者関連情報
© 2013 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top