杏林医学会雑誌
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悪性腫瘍第1集
神経膠腫と中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する化学療法
永根 基雄
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2013 年 43 巻 4 号 p. 151-168

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抄録

 頭蓋内及び中枢神経系に発生する脳腫瘍のうち,神経膠腫や中枢神経系原発悪性リンパ腫などの原発性悪性脳腫瘍は依然治癒が困難であり,手術,放射線療法,化学療法の集学的治療が必要となる。近年の医療技術の進歩に伴い,これらの悪性脳腫瘍の治療成績も向上がみられてきており,的確な診断と標準的化学療法の施行が極めて重要となってきている。脳には血液脳関門が存在するため,他臓器がんとは異なる薬剤や治療法が開発されてきている。悪性神経膠腫には,経口アルキル化剤であるテモゾロミドが中心となり,最近ベバシズマブの効果が検証されてきている。また中枢神経系悪性リンパ腫では,大量メソトレキセート療法を基盤として,多剤併用療法や地固め療法などが検討されている。本稿では,これらの代表的悪性脳腫瘍に対する化学療法の現状を概説する。

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