2013 年 44 巻 3 号 p. 159-166
皮膚は人体最大の臓器で,悪性腫瘍に含まれる皮膚腫瘍の種類は非常に多い。高齢化などに伴い,本邦の皮膚悪性腫瘍の患者数は確実に増えている。皮膚悪性腫瘍治療の基本が外科的切除であることは現在なお変わりないが,高齢者や合併症のある患者が増えるに従い,従来の外科的治療法に比べ患者侵襲の少ない非観血的治療法の需要が高まっている。我々は手術適応に悩む症例に対応すべく,2006年より5-aminolevulinic acidを用いた外用光線力学療法を,2008年より皮膚悪性腫瘍に対する免疫賦活化療法であるイミキモド外用療法を導入,日光角化症,Bowen病,基底細胞癌,乳房外Paget病の患者を治療し,優れた治療成績を挙げてきた。適応症例の選択に注意する必要はあるが,侵襲が極めて少なく,有効性が高いこの2法は共に,皮膚悪性腫瘍の有用な選択肢になり得る治療法である。