杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
原著
中高年者および高齢者における動脈圧容積指標および動脈速度脈波指数の有用性の検討
林 滋
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 47 巻 4 号 p. 153-161

詳細
抄録

 新規に開発された非観血的動脈硬化測定法である動脈圧容積指標(arterial pressure volume index:API),動脈速度脈波指数(arterial velocity pulse index:AVI)について,中高年者および高齢者を対象として,従来の非観血的指標であるcardio-ankle vascular index(CAVI),arterial stiffness index(ASI),ankle-brachial pressure index(ABI),carotid intima-media thickness(IMT)と比較検討した。API,AVIと臨床データ・検査値・従来法の指標との関連をまず単回帰分析で行い,有意であった項目を説明変数として重回帰分析を行った。P<0.05の場合に有意と判定した。
 動脈硬化性疾患患者全例(184名,平均年齢72.4±10.4歳,男性48,女性136名)ではAPIは年齢,AVI,ASI,収縮期血圧,脈圧,LDL-C,血小板凝集能と相関し,身長と逆相関した。一方AVIは年齢,API,脈圧と相関し,身長,体重,body mass index(BMI),Hbと逆相関した。従来の非観血的動脈硬化測定法の指標との比較では,中高年者(39名,平均56.5±6.1歳)で,APIはASI(r=0.69),CAVI(r=0.43)と相関したが,AVIは従来法の指標と有意な相関は見られなかった。高齢者(145名, 平均76.6±6.3歳)では,API,AVIと従来法の指標との相関は見られなかった。
 重回帰分析では,APIは中高年者でR 2 が高値(0.53)で身長が説明変数に残ったが,API,AVIを目的変数とした場合,従来法の測定値は有意な説明変数とはならなかった。
 結論として,1)API,AVIは年齢,身長,収縮期血圧,脈圧と関連し,特にAVIは体重,BMIとの関連が見られた。2)API,AVIは中高年者でASI,CAVIと相関が見られた。3)API,AVIは高齢者よりも中高年者の動脈硬化の評価に適していると示唆された。

著者関連情報
© 2016 杏林医学会
次の記事
feedback
Top